仕事について

八雲ソフトウェアの事例

生産管理の不透明化で発生した課題を解決するDX支援

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プロジェクト

概要
株式会社ロジ・サイエンス様
製造業におけるkintone活用による業務効率化DX支援
チーム編成
八雲ソフトウェアチームは体制としてリーダーが基本的に対応を行います。提案・要件定義まではリーダーを中心に行い、設計と構築支援になるとエンジニアがリーダーのサポートに入ります。
ロジ・サイエンス様は社長をトップとしたチーム体制で、リーダーは総務と営業を兼任している方が1名、製造部4名と検査部1名でプロジェクトチームができました。
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生産管理の不透明化で発生した課題を解決するDX支援

プロジェクト概要 / 背景

製造業である株式会社ロジ・サイエンス様では生産計画や製造の進捗が十分に明確でない状況がありました。工場の製造管理はグループ長に各担当が口頭で事後報告を行い、グループ長が、その報告を元に紙に作業に要した時間などを記入していたため、正確な管理と把握が出来ていない状況でした。

特に問題だったのは、このような管理方法が原因で全体の進捗や把握ができていないことでした。1日に複数の作業が同時で発生するため、一部の従業員は複数の作業にかかわることがあります。そのため、複数の作業にかかわる従業員の前の作業が終わらないと次の作業に入れないため、作業によっては〇〇さん待ちの状態が頻繁に発生し、待機時間があったりなどが理由で全体の作業効率が上がらず、生産スケジュールに影響を与えていました。

このような状況下で、人によっては作業待ちの状態も発生したり、また納期に追われ、残業が頻発する事態が生じ、社内において不平不満が広がっていました。理由のひとつとして、隣のチームですら何しているのかわからず、自分たちだけが残業をしているのはなぜなのかという点が、不満の原因となっていました。作業プロセスの非効率性や情報の断片化も、組織全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼしており、これらの課題が相まって、職場全体の雰囲気にも影響を与えていました。

ロジ・サイエンス様自身も業務用システムをいくつか検討していたのですが、自社の業務に適したものがなかなか見つからなかったため、八雲ソフトウェアにご相談いただき、このような社内の不平不満や課題を解決するために、kintoneを活用した生産管理の見える化を提案し、プロジェクトがスタートしました。

八雲ソフトウェアとロジ・サイエンス様が一丸となって開発

体制・進行

八雲ソフトウェアチームはロジ・サイエンス様をサポートする体制としてリーダーが基本的に対応を行います。提案・要件定義まではリーダーを中心に行い、設計と構築支援になるとエンジニアがリーダーのサポートに入ります。ロジ・サイエンス様は社長をトップとしたチーム体制で、リーダーは総務と営業を兼任している方が1名、製造部4名と検査部1名でプロジェクトチームができました。

このプロジェクトでは以下の流れで進みました。
・ヒアリング
・提案
・要件定義
・基本設計
・kintone構築支援

ロジ・サイエンス様自身がkintoneの開発を主導、八雲ソフトウェアでは伴走型のサポートを行っています。

ヒアリング

八雲ソフトウェアからは1名、ロジ・サイエンス様からは社長、リーダーの三原様、製造部の責任者の方にご参加いただき、初回のヒアリングを行いました。

ヒアリングでは、ロジ・サイエンス様が課題と捉えている点や業務内容を中心に探りました。その結果、ロジ・サイエンス様では生産計画や製造の進捗を把握できていないことが判明しました。これは、紙やExcelを使用して工程管理や生産管理を行っていたためで、管理が個人や部署ごとに分散してしまっていました。その結果、業務が個人のスキルや部署に依存してしまい、業務の属人化が進み、パフォーマンスを最大限に引き出せない状況になっていることがわかりました。同時に、社内からも不満や不平が上がっていることが浮き彫りになりました。

今回のミーティングは経営トップ層の方々と行ったため、将来的な展望についてもお話を伺うことができました。原価管理や予実管理など、より高度な業務管理を行うことで、人事評価につなげていきたいとの要望もありました。

意識したポイントとして、次回の提案に備え、現在利用している工程表のサンプルを提供いただきました。これを活用して、より効果的な提案を行うためです。

提案

ヒアリングの結果をもとに、ロジ・サイエンス様の課題解決のため、社内のメンバーと相談を行いました。特に製造業のシステム開発経験者や他業種からの入社した社員に対し、注文から納品までの生産計画・管理の仕組みについて、どのように構築したかを中心にヒアリングし業務内容の理解に焦点を当てました。

得られた情報をもとに、全ての要望を一度に実現するのではなく、将来の展望を考慮し、まずは生産管理におけるデータ化・可視化をkintoneで行い、それを組織全体で共有化する提案をしました。紙やExcelでは全体での共有が難しい現状を踏まえ、kintoneへの切り替えにより、全社員が生産計画や製造状況を共有できるようになります。まずは全社員による可視化と共有化を行うことで、属人化を防ぎ、生産効率向上につながると考えました。

また、効果的な提案を行うために、ヒアリング時に提供された工程表のサンプルを元に、kintoneのデモ画面を事前に準備し、これを参考にしていただきました。

段階的な生産管理の導入提案と、デモ画面の確認により、先方も具体的なイメージを持ち、その場での受注につながる成果を得ることができました。

要件定義

kintoneを活用した生産管理のために、要件定義を実施しました。このプロセスでは、以下の要素に焦点を当てました。

まず、kintoneで生産管理を行うための要件定義の一環として、何をデータ化するかを明確にする必要がありました。そのためには、先方の業務内容の理解や現在の管理手法、課題の把握を製造部4名と検査部1名の現場メンバーの方々に対してヒアリングしました。

また、ヒアリングとは別に、現在の管理方法や情報の取り扱いについて詳細なリクエストを行い、紙での管理をExcelにサンプルで転記してもらうことで、業務プロセスをより深く理解しました。

このプロセスを通じて様々な課題がわかりました。
その一部の課題として以下の情報を得ることができました。

①社内管理の番号とお客様とのやりとり時の番号が一致していないことが判明し、お客様名、注文内容、注文番号、社内用のコードなどを結びつける必要があることが明らかになりました。

②製造の工程が1つの製品を作るためには20~30の工程がかかることが分かり、納期に対応した具体的な工程の進捗管理が不足していました。現行の管理では受注日と発送日と納品日しか管理されておらず、製造プロセスの詳細な管理が求められています。

③当日になって検査や梱包などの業務が突然発生することが明らかになり、事前にアラート(通知)が欲しいという要望がありました。検査や梱包の工程が迫っている際に事前に通知があることが効果的であるとの意見が出されました。

業務ヒアリングでは現場責任者の方と熱いディスカッションが行われ、これまで他工程との議論の機会がなかったため、実りある場となりました。これらの洞察をもとに、透明性のある生産管理体制を目指しkintoneの基本設計を行ってまいります。

kintoneの基本設計

kintoneの基本設計では、要件定義で必要なデータが整った後、八雲ソフトウェア社内でエンジニアとミーティングを行いました。主にkintoneアプリの構築に向け、データの持たせ方について行われ、将来的な構想の実現もふまえ全体を詳細に描き出しています。

このミーティングでは、不足しているデータや必要な項目について充分な検討が行われ、クライアントと何度かやりとりがありました。

具体的には、お客様とのやりとり時の番号、お客様名、注文内容、注文番号、社内用のコードなど、生産管理において重要な情報に焦点を当て、それらをkintoneのアプリ構成に組み込むための情報整理も進められました。

このプロセスを通じて、kintoneの基本設計において必要なデータの詳細な定義が整備され、クライアントとの連携を重視したkintone構築の基盤が築かれました。

kintoneの構築支援

kintoneの開発はロジ・サイエンス三原様をリーダーとする複数名で構成されたチームで担当しており、基本設計が終了した後はクライアントとのミーティングを実施し、事前にサンプルを作成してレクチャーを行いました。サポートとして、月1回の定例MTGやslackでのチャット対応、スポットでのオンラインミーティングを通じて、継続的なコミュニケーションを図っています。構築までのやり取りを含めて、全体の工程には約3ヵ月の期間がかかりました。

プロジェクトの中での大きな課題として、先方の要望を理解し、アドバイスを的確に行うことが求められました。先方がアナログ管理を行っていたため、デジタルシステムに対する理解が不足していたため、ひとつの例としては、具体的な要望がif文で表現される場合、if文の概念や作成方法に関する理解が難しい状況でした。この課題に対処するため、サンプルを作成し、先方に実際に手を動かしていただくで理解を促進しました。

もうひとつの課題として、構築してもシステムが動かない場面もありました。このようなトラブルに対処するため、問題発生→分析→理解→応用というステップを踏みながら少しずつ進んでいきました。

プロジェクトが進むために心がけたことは、コミュニケーションの徹底でした。先方に対して妥協せず、適切なアドバイスを行うことや、進捗が順調でない場合でも徹底的にサポートし、連絡が途切れないよう努めました。また、先方が構築する立場であるため、こちらからも積極的に連絡を取り、ミーティングの提案や状況確認を行いました。

まずは生産管理のデータ化、見える化をkintoneで構築することができました。

今回のプロジェクトはスタート、ゴールはもっと先に。

構築後の支援

kintoneを使った全社への見える化、共有化は今回のプロジェクトで達成することができました。ですが、ロジ・サイエンス様は今回の見える化、共有化はあくまでスタートだと認識をされています。今後はコスト計算や、人員配置にも役立て、さらなる売上拡大に向けてのプロジェクトがはじまります。

八雲ソフトウェアでは、お客様の目標達成に向けて共に歩む伴走型のサポートを継続しています。

こまめに連絡をいただくのでスムーズに開発できました。

お客様の声

八雲ソフトウェアさんに当社の課題をひととおりお伝えしたところ、生産管理の情報をkintoneで一元化・見える化・共有化することを提案していただきました。
当社はIT専門の担当者がおらず、kintoneについて詳しくありませんでした。そのため、参考になるサンプルアプリや、操作方法を八雲ソフトウェアさんから教わっているのですが、いつもこまめに連絡をしてくれるので、助かっています。
kintoneでの生産計画の一元管理によって生産効率が向上し、より多くの注文を受けるための余力が明確になりました。その結果、前年以上の販路拡大に向けて動けるようになりました。
加えて、kintoneで生産計画が見える化・共有化されたことで、社員の積極性が増し、部門を跨いでの会話や連携が以前よりも活発になりました。作業の待機時間も減ったため、残業削減にもつながっています。